直葬・火葬式とはどんな葬儀?
直葬・火葬式の特徴について
直葬・火葬式とは、遺族にとって時間的、経済的な負担が少ないシンプルなお葬式です。
一般的な葬儀で行うお通夜や告別式などの儀式を省き、火葬場でごく簡単な形でお葬式を行います。
一般葬では、1日目に納棺後お通夜をします。
故人と縁のある方たちが集まり、会食をしながら悲しみを分かち合う場となります。
2日目に参列者を招いて葬儀、告別式を行い、出棺、火葬をするため、少なくとも2日
儀式を行うことになります。
直葬・火葬式では、ご遺体を安置、納棺して、火葬場へ。
火葬炉の前で故人と最後のお別れをします。
ごく限られた身内や近親者など少人数で故人をお見送りします。
お通夜や告別式を行わないため、会場や祭壇などの必要がなく、費用が抑えられたシンプルなお葬式です。
新型コロナウイルスの影響で、葬儀を縮小する傾向があり、直葬・火葬式を選ぶ方が以前より増えています。
直葬・火葬式は経済的な余裕がない方のために以前から行われていた
直葬・火葬式の形態は、葬儀にかける費用が用意できないなど、経済的な余裕のない方のために以前から行われていました。
一般的なお葬式には、葬儀一式の費用、飲食接待にかかる費用、寺院関連に支払う費用など多額な費用が必要です。
一方、直葬・火葬式に必要なのは、葬儀費用のご遺体の搬送費用と火葬費用、棺、骨壺などの物品にかかる費用といった必要最低限の費用です。
この簡素な形態のお葬式に、近年「直葬」という名称が付き、広く知られるようになりました。
お葬式に対する考え方も多様化し、小さなお葬式を好む方などが直葬・火葬式を選択するようになってきています。
かつては、直葬・火葬式の形態は、経済的な理由で、やむを得ず行われていました。
直葬・火葬式の費用相場/その他の葬儀の種類と費用相場
直葬・火葬式の費用相場
直葬・火葬式の費用が安く抑えられる理由は?
直葬・火葬式は、お通夜や告別式などの儀式を省くため、費用を安く抑えることができます。
葬儀会社ではお葬式のコースやセットが組まれています。
一般的な葬儀は、さまざまな費用がかかります。
コースの中には、式場使用料や祭壇、お供え、生花などの物品にかかる費用、運営スタッフの人件費、霊柩車などの車両にかかる費用などが含まれています。
さらに、お通夜や精進落としの食事費用、寺院へのお布施が必要です。
直葬・火葬式にはこれらの費用が必要ありません。
多くの参列者が集まり故人を送る一般葬とは違い、直葬・火葬式では、少人数で簡潔に故人を送ります。
返礼の品などに費用をかける必要もありません。
そのため、直葬・火葬式は費用を安く抑えることができます。
一般葬の費用相場
一般葬の費用の相場は、全国平均で約195万円と言われています。
一般葬の葬儀を行うために必要な項目一式にかかる費用の相場は、約120万円。
内訳は、ご遺体の搬送、安置場所使用料、火葬料金、祭壇、棺、生花、車両に関する費用などです。
お通夜や葬儀後の会食費用や会葬の返礼の費用に約30万円。
寺院へのお布施が平均約47万円ほどかかります。
葬儀の行われる地域や宗教宗派の違い、葬儀の規模、葬儀のグレードによって金額が大きく異なります。
参列者が多数になると、総額200万円以上になることも珍しくありません。
家族葬の費用相場
家族葬の費用相場は、約90万円から約125万円です。
地域や宗教宗派、葬儀会社によって金額に差があります。
家族葬は、家族や親族、生前に親しい付き合いのあった友人など、参列者を限定して行う葬儀です。
一般葬のように仕事関係者や近所の方など参列者が多くなる葬儀とは違い、小規模に行います。
葬儀の儀式は一般葬と同じです。
そのため、葬儀を行うために必要な項目一式にかかる費用はかわりません。
しかし、参列者が少人数になるため、お通夜や精進落としなど飲食にかかる費用と返礼の費用を抑えることができます。
一日葬の費用相場
一日葬にかかる費用の相場は約50万円から約100万円です。
地域や宗教宗派、参列者数、葬儀会社によって金額に差があります。
一日葬は、お通夜を行わず、葬儀、告別式、火葬、精進落としのみを行う葬儀です。
初七日法要まで行う場合もあります。
お通夜を省くため、会場使用の費用を抑えることができます。
また、お通夜のあとの参列者の食事を用意する必要がありません。
一日葬は、お通夜をせず、1日で故人とのお別れの儀式を行うことです。
葬儀の規模はさまざまになるため、参列者が多くなると費用が高額になることがあります。
直葬・火葬式の流れ/直葬であっても安置が必要です
直葬・火葬式は通夜・告別式はありません
直葬・火葬式は最もシンプルなお葬式と言えます。
お通夜・告別式などの儀式はありません。
ご遺体を安置したのち納棺したら、お通夜、葬儀、告別式はせず、出棺し火葬になります。
火葬炉前で僧侶に短く読経をしてもらうことは可能です。
これまでは、身寄りがなく弔う方もいない場合や経済的な理由により、やむを得ない場合に火葬だけのお葬式を行っていました。
しかし、時代の変化により、従来のお葬式の形式にこだわらなくなり、シンプルなお葬式を好む方が増えています。
新型コロナウイルスの影響で葬儀に参列しにくくなり、よりシンプルなお葬式が受け入れられるようになったと考えられます。
死亡診断書を受け取ったら死亡届の提出、火葬許可証の受け取りをし火葬となる
医師に看取られた場合は、「死亡診断書」が医師により発行されます。
孤独死や不自然な亡くなり方をされた場合は、警察による検視、検案が行われ「死体検案書」が発行されます。
死亡診断書(死体検案書)の用紙の左半分が「死亡届」になっているので、必要事項を記入し完成させましょう。
記入できた「死亡届」「死亡診断書(死体検案書)」を市区町村役場へ提出すると、「火葬許可証」が発行されます。
「火葬許可証」を火葬場に提出して火葬を行うことができます。
納骨の際にも必要な書類なので、大切に保管しましょう。
死後24時間の火葬は法律により禁止されているので直葬でも安置が必要
自宅、斎場、安置所など安置できる場所まで搬送し安置する
葬儀、告別式を行わない場合でも、死後24時間は火葬をすることができないため、丸一日ご遺体を安置しなければなりません。
病院で亡くなられた場合、病室では長時間安置してもらえません。
必ず安置できる自宅、斎場、安置所などへ搬送する必要があります。
ご自宅に安置することが難しい場合は、葬儀会社の安置所、霊安室などを使用します。
地域によっては火葬場と併設されている公営の斎場があり、そちらに安置が可能な場合があります。
安置施設によっては面会不可なことがある
故人の安置中に面会ができるのは、近親者や親しい関係者など、ごく限られた人だけです。
これは、直葬・火葬式に限ったことではありません。
安置施設によっては面会時間や面会人数に制限がある施設があります。
また、 面会不可な場合もあるので確認をしましょう。
直葬の場合でも、秘密裏に行うわけではありません。
故人の友人などに訃報を知らせた場合、面会や参列を希望する方がいるかもしれません。
しかし、安置施設での面会はご遠慮いただけるように伝えましょう。
直葬でも限られた人数でのお別れは可能
直葬・火葬式でも、亡くなられてすぐに火葬をするわけではありません。
故人が亡くなられてから安置しなければならない時間があります。
家族や近親者、故人と親しい関係者など、ごく限られた人数にはなりますが、お別れをすることができます。
火葬当日、火葬炉の前で最後のお別れをしてお見送りをする際にも、家族や近親者、故人と親しい関係者など少人数の参列が可能です。
火葬が終わるまでの間も、気を遣わない身内だけで故人を偲びお別れすることができます。
直葬の費用やメリット・デメリットについて
直葬のメリット1・費用を安く抑えることができる
直葬・火葬式のメリットは、一般葬、家族葬、一日葬に比べ、費用を安く抑えられることです。
一般葬の費用の相場が全国平均で約195万円であるのに対し、直葬・火葬式は20万円前後が相場です。
直葬・火葬式に必要な費用は、ご遺体の搬送、安置にかかる費用、棺や骨壺などの物品、ドライアイス、火葬料です。
地域や葬儀会社によって料金には差があります。
また、僧侶に読経をしてもらうなど、どこまでのことをするかによっても、必要になる金額に大きな違いが生じます。
しかし、直葬・火葬式はお通夜、葬儀、告別式を行わないため、ほかの形態のお葬式と比べて費用を抑えることができます。
お通夜や葬儀、告別式をしないため会場設営の必要がなく、会場費用や祭壇、スタッフの人件費を削減できます。
また、参列者にふるまう食事や寺院関係の費用、返礼品の費用を削減することができます。
直葬のメリット2・短時間で終了する
直葬・火葬式は、ほかの形態のお葬式と比べて短時間で終わります。
一般葬では、ご遺体を安置したのち、納棺しお通夜をします。
次の日に葬儀、告別式をして火葬、精進落としや初七日などの法要まですることが多くなっています。
直葬・火葬式は、お通夜や葬儀、告別式をしないため、安置後の時間が短縮されます。
精進落としや初七日の法要もしません。
参列者が少人数であり、儀式が最小限に簡素化されるため、短時間で故人をお見送りすることができます。
高齢化した現代では遺族や親族も高齢であることが少なくありません。
長時間の儀式が体力的に負担になる場合があります。
儀式をより簡潔にして短時間でお葬式を行えることは、直葬・火葬式のメリットです。
直葬のメリット3・家族への負担が少ない(喪主の挨拶や香典返しなどは必要ない)
直葬・火葬式は家族への負担が少ないこともメリットです。
お通夜や葬儀、告別式を行わず、参列者は近親者と故人と親しい関係者のみです。
そのため、喪主の挨拶など参列者への対応に追われることがなく、家族の負担は少なくなります。
参列者がごく限られた関係の人たちであるため、お葬式後の香典返しの手配の負担を軽減できます。
一般葬などでは、参列者への連絡やお通夜、葬儀に関する打ち合わせに時間と手間がかかります。
慣れないはじめての手続きなどもあり、精神的に負担です。
お通夜や葬儀、告別式には多くの参列者が弔いに訪れるため、遺族は慌ただしく対応に追われ、家族の負担も大きくなります。
直葬・火葬式では、このような負担が少なくすみます。
直葬のデメリット1・葬儀に呼ばれなかった親族などが気分を害してしまう恐れがある
直葬・火葬式は、まだまだ一般的なお葬式ではありません。
これまでは、経済的な理由などでやむを得ず行われてきた簡素なお葬式の形態です。
そのため、簡素で故人に対して失礼だと感じ不快に思う方もいるでしょう。
直葬・火葬式は、ごく限られた参列者だけで執り行うため、多くの参列を断らなくてはいけません。
参列できず最後のお別れ、お見送りができなかった親族などが、気分を害してしまうかもしれません。
参列を希望する友人や関係者などが、最後のお別れができず残念な思いや不快な思いをすることも少なからずあります。
親族や友人、知人の参列を断る際には、直葬・火葬式にすることを納得してもらえるよう説明するなど、参列できない方への配慮が必要になります。
直葬のデメリット2・葬儀に呼ばれなかった親族などが自宅に訪れることがあり、却って対応が大変になることがある
直葬・火葬式は参列者が限られるため、参列できなかった親族や友人、知人が、お供えなどを携えて自宅に弔問に訪れることがあります。
一般葬の場合、お通夜や葬儀、告別式の場で、参列者の方々もしっかりと故人とお別れができます。
直葬・火葬式の場合は、当日参列できる人が限られるため、参列を希望する方も断らなければなりません。
そのため、当日参列できなかった親族や故人の友人知人が、故人とのお別れのためや故人を偲ぶために弔問に訪れることがあります。
後日、故人の訃報を知ることになる人も少なからずいるでしょう。
時間や手間の負担を軽減するための直葬・火葬式ですが、個々に弔問に訪れる方が多くなると、却って対応が大変になることがあります。
直葬のデメリット3・短時間で終了する反面、故人とゆっくりをお別れをする時間がない
直葬・火葬式を行った場合、故人が亡くなられて、ゆっくりとお別れをする時間が持てないまま、火葬まで終わってしまったと感じるかもしれません。
役所の手続きや火葬の段取りなどをしているうちに、慌ただしく終わってしまった感覚です。
一般葬では、安置している時間、お通夜や葬儀、告別式の時間に故人の死と向き合い、心の整理をしながらお別れをすることができます。
参列者と故人を偲んで話をすることもできます。
それができたとしても、心の整理はなかなかつきません。
直葬・火葬式は、短時間で終了する反面、故人とゆっくりとお別れする時間がありません。
後になって後悔しないために、安置している時間に、少しでも長く故人とお別れする時間を持つようにしたいですね。
直葬のデメリット4・菩提寺に納骨を断られるケースがあるため事前の相談が望ましい
直葬・火葬式をした場合、菩提寺に納骨できないことがあります。
先祖代々の納骨がされている菩提寺に納骨を考える方は多いでしょう。
菩提寺がある場合は、一般的にそのお寺や宗教宗派の作法に基づいて葬儀が行われます。
直葬・火葬式では、お通夜や葬儀を行わないため僧侶による儀式をしません。
決まった儀式を受けないため、納骨を断られる可能性があります。
菩提寺に納骨を希望する場合は、直葬・火葬式したあとのトラブルを回避するためにも、事前に連絡をしておきましょう。
菩提寺に「経済的余裕がない」「家族だけで質素に故人を送りたい」などの説明をし、
了承を得ておくことが望ましいでしょう。
以後の供養についても相談しておくと安心ですね。
菩提寺に納骨を断られるケースがあることは、直葬・火葬式の注意すべきデメリットです。
直葬・火葬式の場合でも香典や返礼品はどうすればいい?
直葬・火葬式においても、香典を受け取るか受け取らないかは喪主の意向によります。
直葬・火葬式は近親者とごく親しい関係者のみが参列をして行うため、香典を辞退することが多いようです。
香典を辞退する場合は、「香典は不要です」と伝えておきましょう。
香典には、「ご遺族の急な出費を援助する」といった意味合いもあります。
そのため、香典を受け取ることが非常識ということでもありません。
香典の辞退の意向を伝えていない場合は、返礼品を用意しておくとよいでしょう。
香典の返礼は、いただいた金額の3分の1から半額程度が一般的です。
即日返礼する場合と四十九日で返す場合がありますが、地域によっても違いがあるので、葬儀会社に相談するといいでしょう。
直葬・火葬式でも葬儀会社に依頼したほうがいい?
遺体の搬送や安置など葬儀会社に依頼したほうがスムーズで安心
直葬・火葬式でも葬儀会社に依頼をしたほうがスムーズです。
葬儀会社に依頼をすると、専門知識を持ったスタッフが対応してくれます。
ご遺体の扱いは難しく、注意しなければならない点が多いため、搬送や安置をする際にも専門の知識が必要になります。
安置する場所がない時には、葬儀会社の安置施設を使用することができます。
自宅で安置する場合でも、ドライアイスなどを用いて正しくご遺体を安置しなければなりません。
専門の知識がなければ迅速な対応が難しいことばかりです。
棺の手配、納棺、出棺なども葬儀会社に依頼をするとスムーズで安心です。
死亡直後の各手続きなど体力的・精神的に大変なので葬儀会社に依頼したほうが安心
お葬式の喪主を頻繁にするということは滅多にありません。
初めてのことで、手間取ることが予想されます。
限られた時間で、不慣れな手続きを段取りよく行うためにも、葬儀会社に依頼するとスムーズで安心です。
死亡届の記入は親族または同居人がしなければなりませんが、市町村役場への届け出は葬儀会社に代行してもらうことができます。
同時に火葬許可証の受け取りも任せられます。
火葬場の手配もしなければなりません。
直葬・火葬式でも火葬のための手続きや手配は、一般葬と変わりありません。
ご臨終直後のご遺族は体力的・精神的にダメージが大きく、各手続きは大変負担になります。
専門の知識を持った葬儀会社のスタッフに任せることで、正しくスムーズに直葬・火葬式を進めることができます。
葬儀社の「お別れの会」とはどんなサービス?
「お別れの会」は、形に捉われず自由な形式で故人を偲ぶために開かれます。
直葬・火葬式や家族葬で故人を見送ったあと、遺族が開くこともあれば、故人の友人や知人が主体となって開催する場合もあります。
決まった形式はありませんが、一般的に3タイプのお別れの会があります。
「セレモニー形式」は告別式のような形式。生花祭壇を設け、葬送儀礼や弔辞スピーチなどを行います。
「会食パーティー形式」では、宗教儀礼はなく、参列者が献花をし、会食をしながら故人を偲ぶ形式です。
「混合形式」は「セレモニー形式」と「会食パーティー形式」を合わせたスタイルです。
お別れの会は、四十九日や一周忌にあわせて行うことが多く、十分な打ち合わせをして開催することができます。
直葬の欠点となる「故人を偲び足りない」を解消するサービスが必要
直葬・火葬式には、故人とゆっくりお別れする時間がないため、「故人を偲び足りない」という欠点があります。
参列者が限定されるため、親類や友人、知人、故人と縁のあった方が最後のお別れができないままになります。
故人と最後のお別れをして気持ちの整理をするためにも、「故人を偲び足りない」という気持ちを解消する必要があります。
そのため、お別れの会を開くことが増えています。
お別れの会は、芸能人や著名人が亡くなった際に、ファンや関係者のために開かれるものとして世間に広がりました。
最近ではお別れの会をプロデュースする会社などもあります。
故人の友人、知人、縁のあった方々へ、遺族から感謝の気持ちを伝える機会にもなりますね。
直葬の費用相場/直葬の流れやメリット・デメリットのまとめ
直葬・火葬式はお通夜や葬儀、告別式を行わず、火葬をして故人をお見送りするシンプルなお葬式です。
一般葬などに比べて、費用はかなり抑えることができます。
かつては、経済的な理由からやむを得ず行われてきたお葬式の形態ですが、宗教観の変化などに伴い直葬・火葬式が選択肢のひとつに考えられるようになってきました。
短時間で行え、参列者も少ない直葬・火葬式は、高齢の遺族の負担を軽減することができます。
一方で、故人とゆっくりお別れをすることができなかったと、物足りなさを感じるかもしれません。
まだまだ、直葬・火葬式は一般的なお葬式ではないため、配慮すべきことがいくつもあります。
費用だけを重視するのではなく、直葬・火葬式のメリット・デメリットをしっかりと理解し、納得をしたうえで直葬・火葬式を選ぶことをおすすめします。