直葬・火葬式とは?一般葬との違いについて
一般葬と比べると簡素に映り寂しく感じる人もいる
一般葬で行われる通夜・告別式を簡略した直葬は、簡単なお別れだけで火葬されてしまいます。
安置場所に置かれた棺のみで、参列者を呼ばず家族だけで故人を送り出した後、寂しく感じる方がいます。
家族や故人の遺志で直葬を執り行うと決めたはずなのに、「本当に直葬でよかったのか。一般葬か家族葬にすればよかったのでは」と考えてしまうからです。
故人や家族と葬儀について話し合う機会がない、本人の遺志を確認できるものがないと、葬儀の後から後悔しやすくなります。
最近では、生前に故人と家族で執り行う葬儀の形式について話し合っているケースも増えてきています。
葬儀の形式にこだわらず、故人の遺志を汲み取った葬儀ができれば、寂しさは感じにくいでしょう。
ゆっくりと見送る時間がないため後から寂しさが募る人もいる
直葬は納棺から出棺までの時間が短く、ゆっくりと見送る時間がないため、葬儀を終えてから故人と別れがたい気持ちになる方がいます。
出棺までの時間もあっという間で、故人との思い出を懐かしむことができず、無事見送ったという実感が湧きにくいからです。
葬儀の形式は直葬にして家族の負担が少なくしても、最期のお別れはゆっくりと行いたいと思うものです。
家族が行うか、葬儀社に依頼するかでもお別れの時間は変わりますが、最近では、家族の気持ちを汲み取った葬儀を提供する葬儀社もみられるようになりました。
通常は出棺前の10分程度のお別れとなりますが、葬儀社によっては別室を設けて故人とのお別れを十分におこなえるよう時間を設けているところもあります。
直葬・火葬式で後悔した人の声/後悔した理由について
直葬で後悔した理由1・親族からの理解が得られなかった(ゆっくりお別れがしたかったと嫌味を言われた)
生前に故人と家族で相談して決めた直葬と知らずに、周囲の方は故人の弔いとして不十分であると考える方が多いでしょう。
故人とのお別れが十分に行えなかったと家族へ不満をいう方もいるのは、葬儀で通夜と告別式も執り行うのが常識という考え方によるものです。
一般葬または家族葬が常識と考え方は宗教や地域によって差があり、直葬は故人に対して不誠実に思うのでしょう。
故人を偲ぶ気持ちは家族も周囲の方も同じでも、葬儀の考え方に違いがあるとトラブルになりかねません。
生前から本人に葬儀の意向を周囲の方にも伝えてもらったり、エンディングノートなど書面にしてもらっていたりすると、理解を得られやすいでしょう。
葬儀の考え方は人によって違うので、なかなか理解が得られず不満を言われたら嫌な気持になります。
いずれにしても、「故人のことを想って言っている」と相手の気持ちを受け止めることも大切です。
直葬で後悔した理由2・簡素な式であった事で故人に申し訳ない気持ちが残る
最近まで、一般葬が標準的な葬儀の形式だったのに対し、直葬は簡素な葬儀の形式なので故人に対し申し訳ない気持ちが残りやすいです。
故人と過ごす時間が少なく、家族の気持ちの整理がつかないことから、故人に対し申し訳ない気持ちを持ってしまいます。
通夜・告別式へ参列者も招かず故人を偲ぶ時間が設けられない形をとったのも、一人寂しく送り出してしまうようで、よりいっそう「申し訳ないな」と思うのでしょう。
周囲の方からの簡素な葬儀に対する不満を言われることでも、気持ちは沈んでしまいます。
簡素な葬儀が故人をないがしろにしているわけでなく、家族の故人を偲ぶ気持ちがある葬儀をされることが大切です。
生前に、本人の遺志を確認したうえで葬儀の形式を決めておくと穏やかな気持ちでお見送りができるでしょう。
直葬で後悔した理由3・安置施設で全く面会ができずにお別れができなかった
直葬では安置中「家族は面会をしない」としている葬儀社があり、家族が最期のお別れができず、後悔するケースがあります。
安い費用で直葬を執り行う葬儀社は家族の面会を対応しておらず、安置中の面会をオプションとし、面会を希望した場合追加料金が発生するようになっています。
安置中の面会は、葬儀社のスタッフが対応することによる人件費の発生や電気代等が必要になるため、オプションとなるのです。
事前に、葬儀社に直葬の流れを確認し、家族が希望することを明確に伝え、必要なサービスを選択しましょう。
面会ができない安置場所の様子は清潔で、大きな業務用冷蔵庫のようなものの中できちんと保管されています。
安置施設が違うからと言って、ご遺体の保管状態に違いがあるわけではないので、最期のお別れをするかどうかだけ判断するとよいでしょう。
直葬で後悔した理由4・一般葬では費用が足りずに直葬を選んだため後ろめたさがある
葬儀の形式を一般葬または家族葬と考えていたけれど、葬儀の費用が捻出できず、やむを得ず直葬を選択した方は後ろめたく感じるでしょう。
第5回お葬式に関する全国調査(2022年)において、直葬を選択する方は前回の調査結果4.9%に対し約2倍の11.4%となっています。
コロナ禍の影響が大きくコロナ感染による死亡であることや不況の影響で財政面が苦しいため、直葬を選択するのでしょう。
葬儀の費用が不足している場合、大切な家族が亡くなっても悲しみに明け暮れる間も亡くなります。
何とか一般葬または家族葬で故人を送り出したいの想いがありつつ直葬で葬儀を執り行うのも、家族が故人にできる精一杯の気持ちのこもった葬儀です。
葬儀の支払い方法や支払い期限についても葬儀社へ事前に確認し、葬儀の費用のほか、菩提寺への供養代などが必要で、後払いはできず現金払いであることに気をつけましょう。
直葬で後悔した理由5・故人の意思を確かめることができないため直葬で良かったのかどうか分からない
生前に本人が直葬を希望していると知っていたら、故人の意思として受け止められます。
本人に葬儀の意向を確認できていない場合は「一般葬・家族葬がよかったのでは」と後悔しやすいです。
誰が「喪主」になるか決まるのは亡くなった当日あるいは前日であることがほとんどで、どの葬儀の形式にするか迷ってしまいます。
「喪主」が決まったら、すみやかに葬儀の準備に取り掛からなければならず、故人の葬儀の希望を確認する時間がありません。
直葬を執り行って後悔するのはさまざまな理由があるものの、共通する原因は事前の準備不足です。
故人の意思を汲み取った葬儀にするには、生前から故人と葬儀を含めた終活について話を聞いたり、家族も共同で行ったりしておくとよいでしょう。
家族の負担を軽減するためにエンディングノートを準備すると良い/葬儀やお墓の希望を記しておく
エンディングノートは故人のことや財産・資産管理、葬儀など、家族に伝えておきたいことを記載するものです。
家族は自分が亡くなってすぐは気持ちが混乱し、つらい状態なので、エンディングノートはわかりやすく記載しておきます。
自分が葬儀について家族へお願いしたいことについて記載している内容を踏まえて、喪主となる方は葬儀を執り行います。
エンディングノートに記載されるとよい葬儀に関すること
葬儀の実施・喪主について
生前予約または生前契約をしているか、している場合はどこの葬儀社か
葬儀の費用にあてる財産・資産管理について、準備している費用の金額など
葬儀の形式をどうしたいか
菩提寺について(戒名や法名、読経の依頼ができているかなど)
そのほか、訃報連絡先、希望する葬儀の具体的な内容など
生前整理をしたいが何をしたらよいか分からない場合は生前整理業者に依頼すると安心
どのように整理をしたらよいか迷うときは、生前整理業者へ依頼し生前整理のリストを作成してもらうと安心です。
生前整理をしておらず、故人の葬儀を終えてから遺品整理を行うのは家族に大きな負担をかけてしまいます。
年月を重ねると思い出の品や生活用品は家の中に多く眠ってしまい、生前整理を一人で行うのは大変です。
整理を行った後の不用品を買い取ってくれたり、ごみ処理を行ったりしてくれるので、部屋もすっきりし、老後をスッキリとした気分で過ごせます。
形見分けをすることで故人との思い出を大切に温めることができる
直葬で故人とゆっくりお別れができず寂しい気持ちになっても、形見分けをすることで故人を偲ぶことができます。
形見分けは親族が集まる四十九日を済ませ後に行うのが一般的ですが、神式は五十日祭や三十日祭の後に行います。
形見分けは形見の品を贈る方を自宅に招くほか、先方へ持参する方法で行いますが、思い出の品を受け取る方の気持ちに配慮した物を選ぶとよいでしょう。
故人が大切にしていた品を形見分けして、いつも身近に置くことで故人の供養にもなるので、大切な思い出として末永く大切にしてくれます。
直葬で後悔している場合はどうすれば良い?
読経を行わなかったことを後悔している場合はどうすれば良い?
納骨時に読経をお願いしても遅くはありません
通夜・告別式を執り行わず読経がなかったため、簡素な葬儀であったと後悔する方は納骨時に読経をお願いすることができます。
直葬では依頼しておかないと納骨時の読経は執り行われないので、事前に読経の希望を菩提寺または葬儀社へ伝える必要があります。
菩提寺がある方は、読経がないことへの気持ちを伝えると、心情を汲み取って読経を受けていただきやすいでしょう。
菩提寺がない場合は、葬儀社へ相談すると提携しているお寺へ依頼し、納骨前の読経をお願いしてくれます。
読経を希望するかどうか、どのタイミングで行うのか家族話し合い、葬儀で執り行うのであれば、オプションで依頼もできます。
読経の費用相場は1~5万円
納骨時に読経をお願いするお布施は気持ちでお渡しするものなので、費用の相場は1~5万円くらいになります。
お布施の内訳は読経料と戒名料、お車代となりますが、お車代については家族が送迎したりタクシーを利用したりする場合は支払う必要ありません。
家族で話し合い、葬儀の際に読経を希望するのであれば、オプションとして追加費用が必要になります。
火葬前に短いお経を挙げてもらう場合は約3万、安置場所と火葬前の両方をあげてもらう場合は約10万円の追加費用が発生します。
読経の希望は菩提寺・葬儀社・お墓の管理会社に相談をしてみましょう
一般葬・家族葬での読経のタイミングと違うので、事前に菩提寺や葬儀社、お墓の管理会社によく相談しましょう。
直葬での読経は故人や家族の希望で違い、出棺前に約10分間の読経を行う場合と、安置場所と火葬前の両方で行う場合、納骨前に行う場合などさまざまです。
菩提寺がある方は先祖の墓を供養していただいているので、葬儀が執り行われる前に家族が連絡します。
菩提寺がない方は葬儀社やお墓の管理会社に相談すると、提携しているお寺へ依頼してくれます。
ゆっくりお別れができなかったことを後悔している場合はどうすれば良い?
四十九日法要で行い、親族と一緒に故人の冥福を祈りましょう
直葬でゆっくりお別れができなかったことを後悔している場合は、四十九日法要で親族と一緒に故人の冥福を祈るとよいでしょう。
四十九日法要の後の会食をお齋(おとき)といい、僧侶へのお礼や忌明けの節目として故人を偲ぶ場です。
お齋は自宅や菩提寺、ホテルなどで行われ、家族・親族料は理を食べながら故人の思い出を語らいます。
以前は精進料理をだった会食の料理も、懐石料理や仕出し弁当を用意するようになり、葬儀や供養のスタイル等、時代の変化とともに変わっています。
菩提寺がある場合、お寺で読経や納骨、お齋まで対応していただけるようであれば、スムーズに執り行えるので家族や親族の方の負担も少ないでしょう。
四十九日法要は自宅でごく親しい人だけで行うこともできる
四十九日法要を執り行う場所は自宅でも行え、身近な親しい人だけでゆっくりと故人を偲ぶことができます。
直葬を執り行った後の四十九日法要もごく親しい少人数で行いたいと考える方は少なくないでしょう。
どのように四十九日法要を行うのかは家族で決めてよく、最近では法要も家族や親族のみでの主流となっています。
四十九日法要も家族や一部の親族のみで行う場合、法要後葉書や電話で、葬儀・法要の報告を行い、葬儀・法要への理解を得られるようにしておくことは必要です。
故人と親しかった人に訃報を知らせなかったことを後悔している場合はどうすれば良い?
会食の場を設けてみましょう
直葬であったため、故人と親しかった方へ訃報を知らせなかった場合、会食の場を設けるとよいでしょう。
最近、葬儀に参列できなかった方の弔意を汲み取り、家族が葬儀とは別に会食を行う場合や、逆に故人と親しかった方からお別れ会の申し出をされる機会が増えています。
家族が会食の場を設ける場合は、故人と親しかった方の心情を考えて連絡はできるだけ早く行い生前のお礼を伝えましょう。
故人の訃報は郵送や電話などで連絡しておき、四十九日法要を終え落ち着いた頃に会食の場を設けます。
直葬が簡素だったことに後悔している場合はどうすれば良い?
故人の好きだった食べ物やお花、写真など後飾りを工夫してみましょう
直葬が簡素で故人に対して後悔している場合、自宅での後飾りを工夫し、弔問客にも故人の冥福を祈っていただく方法もあります。
後飾りとは火葬後に遺骨を祀るための祭壇のことで、直葬の場合はオプションのプランなので事前に葬儀社へ依頼すると自宅に設置してくれます。
白木で作られた祭壇に飾る必要なものは宗教によって違いますが、お花やお菓子などは宗教ごとで決められていません。
故人が好きだった花を飾ったり食べ物を供えたりして、四十九日を終えるまでの間、合掌し故人を偲びましょう。
花が傷んできたら新しい花と交換し、傷みやすい果物などは新鮮なうちに下げて、家族でいただきます。
直葬で後悔しないために知っておきたいメリット・デメリットまとめ
最近は、コロナ禍の影響もあり、一般葬から家族葬や直葬を選択されるケースが増えています。
直葬は通夜・告別式がなく家族・親族のみが執り行う葬儀で寂しく感じられやすいので、直葬のメリット・デメリットを参考にして葬儀の形式を選ぶとよいでしょう。
直葬のメリット
費用の負担が少ない
通夜・告別式がないので火葬の予約が取りやすく火葬までの期間を短縮できる
参列者への接待がないので葬儀の際、家族は心身の負担が軽減される
直葬のデメリット
ゆっくりとお別れする時間がない
通夜・告別式がないため親族の理解を得られない可能性がある
檀家制度の考えから菩提寺が納骨を断る可能性がある
葬儀の形式によって、それぞれメリット・デメリットがあるので、故人や家族の葬儀への希望を葬儀社へ伝えることと、菩提寺や親族へも相談し同意を得ることが大切です。
葬儀は故人にとっても家族にとっても一生に一度の大切なもので、後悔のない葬儀を執り行いたいものです。