【一人暮らしの死亡手続き】親や家族の死亡手続きや遺産相続などの手続き

目次

一人暮らしの方が死亡したときにすぐに確認するべきことは?

1人暮らしの死亡手続き

 

1・死後事務委任契約の有無について確認しましょう

死後事務委任契約とは?

死後事務委任契約とは、一人暮らしの方で家族や親族がいない場合やいたとしてもなんらかの理由で誰にも死後の手続きを依頼できない場合に活用できる制度のことです。

故人が生前に死後事務委任契約を結んでおくことで、第三者に死後の事務手続きを委任することができます。

第三者とは、信頼できる友人や知人、誰もいない場合は専門業者や弁護士などであり、
委任できる事務手続きは以下になります。

法事関係・・・葬儀・納骨・永代供養など
役所関係・・・死亡届・年金受給停止・埋葬料や葬祭料の申請など
財産関係・・・相続財産管理人の選任・遺品の整理や処分など
ライフライン・・・電気代やガス代などの公共料金の解約
医療費や入院費の精算
家賃や管理費の精算・老人ホームの退去手続きなど

死後事務委任契約の注意点として、当事者双方が意思能力があると認められることが必要であり、認知症などで意思能力を持たないとみなされれば契約不可能となります。

また、個人の銀行口座の解約や不動産の処分など履行できない内容もあるため、その点は十分な確認が必要です。

特に、相続人がいる場合には、あらかじめ相続人に相談しておくことでトラブルが回避できます。

 

2・任意後見契約の有無について確認しましょう

委任後見契約とは?

任意後見契約とは、将来認知症などで自分の判断能力が低下した場合に、あらかじめ自らが選んだ人に後見人になってもらうことを委任する契約です。

本人の意思能力があるうちに、後見人に代わりにしてもらいたい特定の法律行為を契約で決めておくことができます。

その後、本人がひとりで意思決定することに不安が出てきた場合に、本人・配偶者・四親等内の親族・任意後見受任者(後に任意後見人となる人)のいずれかの申し立てにより、家庭裁判所で任意後見監督人が選任されます。

そのことによって初めて、任意後見契約の効力が発生し、任意後見監督人の監督の下、契約で決められた法律行為を任意後見人が本人に代わって行うことができるのです。

死後事務委任契約とは違い、生前に本人の意思能力が不安になってきた時点で手続きを申し立て、効力が生じる可能性があるのが委任後見契約といえます。

被後見人が亡くなった時点で後見人の権利は終了し、家庭裁判所への終了報告や登記手続きを行った後、財産を相続人に引き渡さなければなりません。

 

遺品整理を行う相続人を確認しましょう

遺品整理は誰がやるべき?

法律上の遺品の扱いは、「相続人の相続財産」となります。

そのため、遺品整理を行う権利は相続人にあるということになります。

遺言などで故人の意志が残されていない場合、「法定相続人」が故人の財産を相続し、優先順位は以下のようになります。

相続人:配偶者
第一順位:子若しくは孫
第二順位:父母若しくは祖父母
第三順位:兄弟姉妹

相続人が一人の場合は、その人が遺品整理の責任を負うことになり、複数の相続人がいる場合は、その全員で手分けして行うのが理想です。

ただ、実際の作業を全員で行うのは諸事情で難しい場合は、遺品整理業者に委託し費用の負担は全員で分担するのが妥当だといえます。

しかし、負債などのマイナスの財産がある場合もありますから、その場合は3ヶ月以内に相続放棄の手続きを取れば、全ての財産を放棄することもできます。

この場合はプラスの財産も含めて全て放棄することになり、後にプラスの財産があることがわかっても取り返すことはできないので、十分に確認した上で手続きをすることが重要です。

また、相続放棄をする場合は、遺品を勝手に処分したり売却したりできませんから、その点でも注意が必要です。

故人が生前に第三者と「死後事務委任契約」を結んでいる場合には、その第三者が相続財産管理人の選任・遺品の整理や処分をすることになります。

 

 

 

死亡手続きについて/手続きの内容は?

家族が亡くなったらすぐにやるべきこと

 

死亡手続き1・役所への手続きや提出の期限

死亡届け

死亡届は、死亡から7日以内に役所に提出すると法律で定められていますが、その後の火葬の手続きを考えると直ちに提出する必要があります。

死亡届の提出には、医師の死亡診断書が必要ですが、自宅で死亡した場合で死因が不明な場合は、まず、警察関係者が検視をします。

検視によって死亡した背景に事件性がないと判断されれば、医師が死亡からの経過時間や死因を記載する「死体検案書」を作成します。

死亡届は、「死亡診断書」や「死体検案書」と一体となっており、必要事項を記入してから役所へ提出します。

 

火葬・埋葬許可証

火葬許可証とは、故人の遺体を火葬する許可を証明する書類で、火葬する際に必ず必要になります。

役所で死亡届を届け出る際に、同時に火葬許可証発行の申請も行うのが一般的です。

火葬当日には、火葬許可証を必ず持参し、火葬場に提出しなければなりません。

火葬が終わりお骨が壺に収められた後に、火葬場の証印が押された火葬許可証が返却されます。

この火葬場から返却された火葬許可証が一般的に埋葬許可証と言われています。

埋葬許可証は、納骨するまで遺骨とともに保管しておき、納骨の際に墓地や霊園に提出することになります。

 

世帯主変更届け

世帯主変更届とは、世帯主が死亡した際に新しい世帯主へと登録変更するために行う手続きのことです。

世帯主変更届の提出期限は死亡から14日以内となっていますが、一人暮らしの方の場合で他に世帯主となる人がいない場合は必要ありません。

また、夫婦2人だけだった場合も必要なく、その世帯に15歳以上の人が2人以上残る場合は、新しい世帯主を届け出る必要があります。

届け出る際には、本人確認書類と印鑑を持参の上、現在住んでいる市町村役場に届け出てください。

 

国民健康保険の資格喪失届け

故人が国民健康保険に加入していた場合、死亡した日から14日以内に国民健康保険資格喪失届を市町村役場に提出する必要があります。

市町村によっては、死亡届を提出すれば国民健康保険資格喪失届は必要ない場合もありますので、その点は故人の住んでいた市町村役場に問い合わせてください。

同一世帯の人・委任状があれば代理人が提出できますが、一人暮らしの方で「死後事務委任契約」を結んでいた人は、委任された第三者が行うことになります。

届け出る際に、国民健康保険証・死亡を証明する書類(死亡届のコピーなど)・手続きする人の本人確認書類(運転免許証・マイナンバカードなど)・印鑑が必要になります。

また、国民健康保険に加入していた方が亡くなった場合、「葬祭費」として5〜7万円(市町村により異なる)が支給されます。

申請できる人は葬祭執行人(喪主)で、宛名が葬祭執行人と同一である葬儀の領収書が必要となります。

「葬祭費」は、葬儀をした日から2年で時効となりますので、忘れずに手続きをしましょう。

 

介護保険の資格喪失届け

40歳から生涯にわたって毎月払い続ける介護保険料ですが、資格喪失届については、40歳以上の全ての人が提出しなければいけないわけではありません。

65歳以上の方、もしくは40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた方が亡くなった場合は、介護保険の資格喪失届を提出する必要があります。

市町村によっては死亡届を提出するだけで同時に手続きが完了する場合もありますので、故人が住んでいた市町村の役所に確認してください。

必要となった場合は、亡くなってから14日以内に介護保険被保険者証をもって市町村役場に提出します。

 

マイナンバーカード

マイナンバーカードの持ち主が死亡した場合、カードに関する手続きは必要ありません。

死亡届が提出されることで、自動的にマイナンバーカードは失効されます。

また、マイナンバーカードの返納も義務ではありませんが、返納届を提出して返納できる市町村もあります。

ただ、故人のマイナンバーが様々な手続きで必要となる場合があるため、生命保険や相続等の各種手続きが終わるまで残しておくと安心です。

各種手続きが終了し、返納しない場合は、カードを裁断してから処分してください。

 

死亡手続き2・年金に関する手続き

年金の受給について

死亡届の提出だけでは年金の支給は停止されないため、「年金受給権者死亡届」を提出しなければいけません。

国民年金は死亡した日から14日以内、厚生年金と共済年金は10日以内が期限となっています。

手続きをしないまま年金をもらい続けてしまうと不正受給となってしまいますので、手続きが忙しい時期ですが、期限内に提出するようにしてください。

届け先は年金事務所、年金相談センターのいずれかになり、故人の年金証明や他界したことを証明する書類(住民票、死亡診断書、戸籍謄本など)を添付して手続きをしましょう。

例外として、亡くなった人の個人番号が日本年金機構に登録してあれば、「年金受給権者死亡届」の提出は必要ありません。

 

遺族年金について

遺族年金とは、生計を維持していた方が亡くなった場合に遺族の生活を支えるために支給される年金のことです。

国民年金加入者(自営業者)の遺族は「遺族基礎年金」を受給できますが、未納期間が一定期間を超えていないことや収入制限を超えていないこと、18歳以下の子がいることなどが条件になります。

また、厚生年金加入(会社員・公務員)の遺族は「遺族厚生年金」が受給できますが、これについても遺族基礎年金とは異なった条件があります。

厚生年金は受給できる遺族の範囲が配偶者・子・父母・孫・祖父母(それぞれに年齢制限あり)となり、受け取れる優先順位もこの順となります。

 

死亡一時金について

死亡一時金とは、国民健康保険料を3年分以上納付した人が、年金を受給しないまま亡くなった場合、生計を共にしていた遺族に対して支払われるものです。

納付期間に応じた一定額の一時金が支払われますが、遺族基礎年金と同時には受け取れません。

また、妻が寡婦年金を受け取れる場合は、死亡一時金とどちらを受け取るかを選択する必要があります。

死亡一時金を受け取る権利があるのは、故人と生計を共にしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であり、優先順位もこの順になります。

 

寡婦年金について

寡婦年金とは、第1号被保険者として保険料を納付した期間と免除期間が合わせて10年以上ある夫が年金を受給しないまま他界したとき、妻が受け取れる年金のことです。

故人と10年以上婚姻関係にあり、夫に生計を維持されていた妻であることが条件です。

妻が60歳から65歳になるまでの間、老齢基礎年金の4分の3を受け取ることができますが、夫がすでに老齢基礎年金を受けていたり、妻が繰り上げ支給を受けていたりすると支給されません。

老齢基礎年金の4分の3とは、夫が1号被保険者であった期間から計算された額の4分の3となります。

 

死亡手続き3・公共料金に関する手続き

公共料金について

公共料金については、電気・水道・ガスなどそれぞれの契約会社に連絡し、解約の手続きをとることで、完了できます。

一人暮らしの賃貸物件で、すぐに住居を引き払いたい場合は、速やかに解約手続きをする必要があります。

万が一、どこに何の契約をしているのかが不明な場合、銀行口座を凍結することによって未払いの請求書が届くことで、契約先を割り出すといった方法もあります。

契約会社がわかっている場合は、解約手続きと共に未精算分の支払いも行うことになりますので、未精算分の支払い方法についても契約会社に確認してください。

手続きを行う人と相続人が異なる場合は、相続人と金銭面について話し合っておくことが必要です。

 

固定電話について

固定電話の電話加入権は相続財産に含まれるため、相続する場合は名義変更手続きをして使い続けることが可能です。

相続する場合は相続税の課税対象にもなります。

名義変更して使い続ける以外には、解約か休止のどちらかの手続きがあります。

解約した場合、同じ番号は使えなくなりますし、権利金も返金されませんので注意が必要です。

休止とは、NTTに電話加入権を原則5年、最長10年まで預かってもらえる手続きのことで、電話加入権を保持することができます。

休止手続きを取った場合も再度利用する際には新しい電話番号となり、2,000〜10,000円程の手数料が発生しますが、一から電話加入権を購入するよりはコストが抑えらることがメリットといえます。

また、相続放棄をする場合はNTTにその旨を伝え、勝手に解約や料金の支払いをしないようにしてください。

 

携帯電話について

故人の携帯電話の契約解除については、遺族などの法定相続人、もしくは死後事務委任契約を結んだ第三者が行うことができます。

契約を結んでいる通信キャリアによって手続きに必要な書類などが異なりますので、事前に確認し、携帯電話本体、必要書類(死亡が確認できる戸籍謄本など)、手続きする人の身分証明書などを準備して手続きをしてください。

携帯電話のデータについては個人情報の取り扱いの観点から慎重になる必要があり、消去する、初期化する、などの方法で外部に漏れないよう注意しましょう。

ただ、亡くなった直後に解約すると故人の関係者との連絡が取りにくくなるといったデメリットがありますので、解約前に連絡を取っておくべき人がいないか、死亡したことを報告すべき人がいないか、などの確認が必要です。

そういった意味では、故人の事務手続きがある程度落ち着いてから契約解除する方が良い場合もあります。

 

死亡手続き4・銀行関係

銀行口座について

故人の銀行口座については、銀行が名義人の死亡を確認すると口座は凍結されます。

死亡届を受理した役所から銀行に連絡がいくことはないので、遺族や事務委任契約を結んだ第三者からの連絡により銀行は死亡を知ることが一般的です。

口座預金は名義人が亡くなると相続財産となるため、相続人が決まるまで口座は凍結されることになります。

相続人が決まり、凍結された口座から預金を相続するためには、亡くなった方の全ての戸籍謄本(出生から死亡まで)が必要となります。

遺言書がない場合、全ての戸籍謄本を確認することで法定相続人の範囲で相続人を確定しなければならないからです。

しかし、民法の改正により、遺産分割が完了する前であっても相続人は他の相続人の許可を得ずに故人の預金を引き出すことが可能になりました(金額の上限あり)。

この「相続預金の払い戻し制度」により、相続人は、死亡後に当面必要なお金を確保しやすくなりました。

 

死亡手続き5・保険に関する手続き

生命保険について

生命保険とは人の生死に関連して支払われる保険のことで、この中に死亡保険も含まれます。

そのため、個人年金保険なども生きている場合に支払われる保険という意味で生死に関わる生命保険に含まれます。

死亡した場合の手続きは、死亡保険についても個人年金保険についても必要です。

個人年金保険を生前に受け取っていた場合には、停止する手続きを行い、死亡保険については請求手続きを行うことになります。

 

医療保険や入院保険について

故人が医療保険や入院保険に加入しており、入院や手術をしていた場合は、法定相続人が入院給付金や手術給付金の請求を行うことができます。

生前に本人が受け取る場合は非課税扱いですが、法定相続人が請求して受け取った入院給付金や手術給付金は相続財産になります。

本来、生前に活用されるべき医療保険や入院保険の給付金ですが、そうならないままに相続遺産となることもあるため、ご自身の医療保険や入院保険については現時点で本当に必要なのか定期的に見直したり検討し直すことも大切です。

 

死亡保険について

死亡保険金の請求手続きについては、受取人が指定されている場合はその受取人が請求することができます。

受取人が相続人となっている場合は、相続人全員による手続きが求められることがありますが、その点については契約している保険会社に確認が必要です。

死亡保険金の請求には期限があり、死亡した日から3年以内(かんぽ生命は5年以内)となりますので、期限内に請求手続きをするようにしましょう。

この手続きにおいても戸籍謄本や死亡診断書などが必要となりますので、事前に保険会社に確認の上、必要書類に不備がないよう準備して手続きをしてください。

また、死亡保険金を受け取ると税金が発生し、契約者・被保険者・受取人の関係性によって相続税・所得税+住民税・贈与税のいずれかになります。

税金の種類によって納税額も変わってきますので、生前に確認しておくことも大切なことです。

 

死亡手続き6・各種名義変更の手続き

車やバイクについて

車やバイクについても相続手続きが必要になります。

まず、相続人が自動車やバイクを売却するか相続するのかを決めることになりますが、相続人が複数いる場合は相続人全員で決める必要があります。

相続人への名義変更は、ナンバープレートを交付している管轄の陸運局に移転登録申請書などの書類を提出することで手続きすることができます。

原動機付自転車(50cc以下のバイク)については、故人が使用していた時のナンバーは一度返納し、再度使用する場合は新たなナンバーの交付を受けなければなりません。

軽二輪自動車(126cc〜250ccのバイク)や小型二輪自動車(250cc以上のバイク)は軽自動車として相続手続きを行います。

軽自動車としての手続きは、継承人の住所地を管轄する軽自動車検査協会に申請することで手続きができます。

 

不動産について

土地や建物など、不動産の所有者が亡くなった場合は「相続登記」という名義変更の手続きが必要です。

「相続登記」を行う場合、法廷相続人全員の同意・署名捺印が必須になりますので、まずは法定相続人全員で相続財産の分割について話し合いを行うことになります。

「相続登記」による名義変更を行わない場合、不動産を相続人全員で共有していることになり、トラブルの原因にもなりかねません。

また、時間の経過とともに法定相続人の人数が増えたり、複雑化したりして、手続きはどんどん大変になっていきます。

それを避けるためにも速やかに相続登記を行うことが望ましいと言えますし、法案の改正により、義務化される日も近いかもしれません。

不動産の相続登記については、手続きが複雑であったり、かなりの労力が必要なため、司法書士へ依頼するという方法もあります。

依頼する範囲によって、3〜15万程度の費用がかかりますが、時間がない方や早くスムーズに済ませたい方は依頼することをおすすめします。

 

 

 

1人暮らしの死亡手続き/故人が独身の場合に手続きをする人は?

40代~50代の生前整理のはじめかた

 

独身の場合は親族が手続きを代行する

一人暮らしの方で故人が独身の場合は、戸籍から親族をたどり、連絡をとって手続きを代行してもらうことになります。

しかし、生前に故人が親族に負担をかけることを心配して「死後事務委任契約」を第三者と結んでいる場合は、その第三者が死後の事務手続きを代行することになり、最近ではこういったケースも増えつつあります。

親族や信頼できる友人や知人が全くいない場合は、専門業者や弁護士などに「死後事務委任契約」を依頼する方法もありますが、費用が発生するため躊躇する方もいるでしょう。

近年では身寄りがおらず、孤独死をする方も増え社会問題となっていますので、死後の手続きについて社会福祉協議会に相談するなどして考えておくと安心です。

 

独身の場合の遺産相続はどうなる?

父母が健在の場合は父母が相続人となる

故人に配偶者がおらず、子や孫も1人もいない場合は、直系尊属である父母が健在であれば父母が相続人となります。

父母が離婚をしている場合でも親子関係は変わりませんので、父母ともに相続の権利があり、1/2ずつが法定相続分です。

父母のどちらかが他界している場合には、存命の親が相続人となり、父母が両方とも他界していて祖父母が存命の場合には、祖父母が相続人となります。

 

父母が他界している場合は兄弟姉妹が相続人となる

故人に配偶者・子や孫が1人もおらず、父母も祖父母も他界している場合には、相続順位が第3順位となる兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟姉妹が複数いる場合には、その人数で按分して遺産を相続します。

兄弟姉妹がすでに他界している場合には、その子供である甥姪が相続人となりますが、甥姪が他界している場合にその子が相続人となることはありません。

 

相続放棄する場合の期限は?

故人に遺産以上の負債があったり、親族とのトラブルを避けるためなどの理由で相続放棄をしたい場合は、故人が亡くなった日から3ヶ月以内に手続きをする必要があります。

相続放棄をする場合は、遺産分割協議に参加したり、遺品を勝手に処分したりは出来ませんので注意が必要です。

相続放棄の手続きは家庭裁判所に申請しなければなりませんが、申請に不備があって却下された場合は再申請することができません。

また、相続放棄をすると自分の次に相続権をもつ人に相続されることになりますので、それを知らないままに相続放棄をしてしまうとトラブルの原因となります。

それを防ぐためにも、他の親族との話し合いをしたり、相続放棄に詳しい司法書士に相談するなど慎重に手続きを進めるようにしましょう。

相続放棄の申請が家庭裁判所で受理されれば、故人の負債を払う必要はなくなりますが、裁判所はその後の債権者への連絡などは請け負ってくれません。

専門家に相談する際には、そこまでフォローしてくれるかどうかを確認することも大切です。

 

 

 

1人暮らしの死亡手続き/身寄りがいない場合の手続きについて

家で亡くなった場合にやるべきこと

 

身寄りがない場合は行政や自治体が葬儀を行う

身寄りが全くない場合は、行政や自治体が遺体を引き取って火葬や最低限の葬儀を行い、その際の費用については故人の遺産の中から支払われます。

遺族がいない場合で経済的に困窮している人に対しては、「葬祭扶助」という給付金が自治体から支給される場合があります。

「葬祭扶助」の支給額は20万円前後で、最低限の葬儀を行える費用が支給されます。

その後、遺骨や遺品の管理は自治体が行いますが、5年程度の一定の保管期間が設けられています。

その期間を過ぎると、遺骨は身寄りのない人の遺骨がまとめて埋葬されている無縁塚に埋葬されます。

 

 

独身や一人暮らしの人の終活について

20代のエンディングノートの書き方

 

終活の内容1・遺言書の作成

遺言書の内容は?

遺言書の基本の書き方は「自筆証書遺言」であり、遺言者本人の自筆による作成が条件になります。

遺言書の内容には、遺言者の氏名と捺印・作成した日付(年月日)が必須で、本文には「誰に対してどれだけ財産を相続させるか」ということを明記します。

また、「相続を廃除したい人」「遺言執行人」「隠し子」などについても必要があれば明記してください。

「遺言執行人」を指定しておくことで、相続手続きをスムーズに進めることができるため、相続人や司法書士などに依頼しておくのも良いでしょう。

相続財産は、一般的には「不動産」「車などの動産」「預貯金」「有価証券」などがあり、それぞれの項目について相続人や相続の割合について明記する必要があります。

特定の人に全財産を相続させる場合は、対象者を指定して、その旨を明記してください。

相続人以外に遺産を相続させたい場合は、遺言書には「遺贈」という言葉を使います。

この際、対象者の氏名・住所・生年月日を正確に書くことを忘れないでください。

以上のような形式的な内容以外に「付言事項」という項目があり、遺言者の意志を伝えるために自由に書くことができます。

「付言事項」には、生前の感謝や相続の内容を決めた経緯など、相続人に伝えたいことを記しておきましょう。

 

遺言書効力は?

自筆証書遺言の効力が判断される基準のひとつとして、自筆であるかどうかが問われます。

代筆や記載ミスがあった場合は認められませんので注意が必要です。

また、遺言書を有効なものとして認めてもらうには、開封前の「検認」が必要です。

「自筆証書遺言」が封印されている場合、開封する前に家庭裁判所に申請し開示してもらうことを「検認」と言い、検認を行わないまま開封した場合、遺言書の効力がなくなることもあります。

 

終活の内容2・エンディングノートの作成

エンディングノートとは?

エンディングノートとは、自身の終末期や死後の手続きを家族や親族が進める際に必要となる事項を記載しておくためのノートです。

終活ノートとも言われ、自分自身の人生をどのように終わらせていきたいかという意志を記しておくものになります。

資産のことや葬儀の内容、通帳の保管場所や解約が必要なサービスについてなどを記しておくことで、残された家族や死後の手続きを担う人が迷うことなく手続きを進められるというメリットがあります。

最近では、まだ若いうちから自分の人生設計の意味も込めてエンディングノートを活用する人も増えています。

遺言書のように法的効力は持たないので、遺産や相続に関することを記述する際にはそのことも念頭に入れておかなければいけません。

 

終活の内容3・葬儀やお墓の生前契約

自身が死亡した後の遺族の負担を軽くするために、葬儀やお墓の生前契約をしておくという方法もあります。

葬儀については、参列者名簿の作成・葬儀費用の見積もり・遺影の準備などが含まれます。

こういった準備をしておくことで、葬儀にかかる費用の把握や準備ができますし、自分の交友関係を改めて振り返ることができるといったメリットもあります。

お墓については、先祖代々のお墓がある場合にそのお墓に入るのかどうかの検討や生前に墓地の購入や納骨堂の予約をしておくことができます。

お墓を自ら立てる場合には数百万円の負担が発生する上、供養してくれる親族が近くにいないことも多いため、最近では納骨堂を利用する人も増えています。

また、樹木葬・海洋散骨などの選択肢も広がってきているため、生前に自分がどうしたいのかを検討し、具体的に見積もりや契約をしておくことで、自身の意志を反映することができます。

 

終活の内容4・生前整理をしておく

生前整理とは?

亡くなった後で故人の遺品を整理することを「遺品整理」と言いますが、元気なうちに自分の持ちものや財産などをある程度自分で整理しておくことを「生前整理」と言います。

死は誰にでも訪れるものなので、時間的にも体力的にも余裕があるうちに生前整理を行い、身軽になっておくことで、遺族の負担もかなり軽減されます。

遺品整理を行う遺族の肉体的・精神的負担を考慮するという意味もありますが、生前整理を行い、すっきりと整理された状態で暮らすことが心地よい暮らしにつながるというメリットもあります。

また、どれだけの遺産があるのかを把握する機会にもなり、同時に「財産目録」を作っておくことで遺族に対してもどれだけの遺産があるのかが分かりやすくなります。

さらに、生前贈与という選択肢を選ぶことによって税金対策になるケースもありますので、そういった視点でも検討することをおすすめします。

 

生前整理業者に依頼をすると安心/生前整理業者のサポート内容について

生前整理を自分1人で行うとなると相当な時間や労力がかかります。

特に持ち物や財産が膨大にある方は気が遠くなる作業になるかもしれません。

そのような場合は生前整理業者に依頼してサポートを受ける方法もあり、内容は以下になります。

日用品・家財の整理整頓
不用品の処分
デジタル整理
財産目録の作成
遺言書の作成

どこまでサポートを受けるかは、予算に応じて様々ですが、予算があまりない場合でも大型の家具や家電などの処分といった自分1人では難しい作業だけでも依頼することもできます。

また、同時に査定して買い取ってくれる業者もいますので、部屋を一気に片付けたいときにはありがたい存在です。

遺言書の依頼といった内容は、専門家の手を借りることになるため費用は高額になります。

事前に無料見積もりをしてくれる業者を選んで見積もりを依頼し、どこまで依頼するのかを検討することをおすすめします。

 

 

 

一人暮らしの死亡手続きの内容や遺産相続についてまとめ

死亡後の手続きは死亡届など役所関係の手続きに始まり、葬儀の執行、遺産の相続に至るまで多岐に渡ります。

一人暮らしで親族がいない場合、故人が生前に「死後事務委任契約」を結んでいれば委任された第三者が様々な手続きをすることができます。

各種手続きは、必要書類や期限が異なるため、各種期間に事前確認をしたうえで期限内に速やかに手続きを進めるようにしてください。

「死後事務委任契約」を結んでおらず、全くの身寄りがいない場合は自治体が葬儀を担うことになるため、そういう事態を避けるためにも生前に自身の死後の手続きについて決めておくことが必要です。

また、エンディングノートをはじめとする生前整理によって元気なうちに身辺を整理し、必要があれば遺言書の作成など専門家のサポートも得ながら準備しておくことで、相続によるトラブルを防ぎ、自分の意志を貫くことができます。

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