飼い主が孤独死したペットの対応【ペットが生きている場合】
ペットの対応は検視が終わってから
飼い主が自宅で亡くなった場合、死亡原因や事件性の有無を調べるため、検視が行われます。
そして事故死だった場合にも検視が必要となります。
飼い主の死因調査をする際には、立ち入り禁止にして現場検証を行います。
現場検証を行っている間は警察署で鍵を含む貴重品を保管されるため、たとえ身内であっても部屋に入ることはできません。
飼い主の検視が終わり、遺体や貴重品を受け取ってはじめてペットの対応が可能となるのです。
入室の許可が下りるまでにペットの扱いを考えなければなりません。
その場合、保健所やアニマルシェルターにペットの保護を依頼する等、準備を整えておくと良いでしょう。
特殊清掃業者の選定や依頼を行うこともおすすめです。
検視とは?
検視とは自宅で亡くなったり、病院以外の場所で亡くなった場合に、警察官や検視官によって行われる調査のことです。
警察官や検視官は、警察署に届け出があった遺体と、周辺の状況や事件性がないか調べ、明らかにします。
ただし変死体だった場合には、医師の立会いが必要となります。
つまり検視とは、何らかの病気で亡くなった場合や、自然死を除いて必要となる手続きなのです。
検視と似た言葉に「検死」がありますが、これは全く別の言葉で関わる人に違いがあります。
検死とは医学的な観点から死亡状況や死因を判断するため、医師が行う検査です。
検視で事件性の有無を調査し、無いと判断されれば検死をするという順番が一般的です。
ペットが生きている場合の対応1・アニマルシェルターに引き取りを依頼する
アニマルシェルターとは?
アニマルシェルターとは、人間の勝手な都合により行き場を失ってしまった動物を、一時的に保護するための施設です。
別の名称では「動物保護センター」や「動物保護施設」とも呼ばれています。
家庭でペットとして飼われていた動物を保護する施設であるため、犬や猫が多く収容されています。
保護をされたペットは新しい飼い主が見つかるように、怪我や病気の治療、ワクチン接種、不妊・去勢手術、さらにはペットとしての訓練も行われます。
アニマルシェルターは、あくまで一時保護をする施設であり、ペットを放棄する施設ではありません。
そして保護をする施設だからといって、いつでも受け入れているとは限りません。
保護をするペットが多すぎて、施設が満杯になっている可能性もあるからです。
まずはアニマルシェルターに問い合わせ、確認するところからはじめましょう。
ペットが生きている場合の対応2・保健所、動物愛護センターに引き取りを依頼する
保健所、動物愛護センターとは?
飼い主が孤独死をしてペットが生きている場合、保健所や動物愛護センターに引き取りを申し出ることもできます。
まず保健所とは、地域に住んでいる住民の、衛生面や健康面での生活をサポートする、公的な機関です。
保健所はペット関連だけでなく、飲食店の許認可や食品衛生の相談等、人に関する業務も行っており、各都道府県や各市区町村に設置されています。
動物愛護センターは地方自治体や保健所と連携し、動物の管理や保護、収容、譲渡、殺処分を行っている施設です。
しかし動物愛護センターは、すべての地方自治体に設置されているわけではありません。
その地域に設置されていない場合は、保健所が収容や殺処分等の業務を担い、動物愛護センターの役割を果たしています。
アニマルシェルターと同様、必ずしも収容や保護をしてくれるとは限りません。
安易な引き取りは殺処分を増やすことにもなるため、断られるケースもあるのです。
なお、厚生労働省では、地域の保健所管轄区域の情報を載せていますので、参考にしてください。
参考サイト:保健所管轄区域案内 (mhlw.go.jp)
飼い主が孤独死したペットの対応【ペットも亡くなっている場合】
特殊清掃業者に依頼をしましょう
独居の方はペットを多頭飼いしているケースが多く、あちこちでペットの死骸が発見されることがある
ひとり暮らしを送っている方のなかには、寂しさからペットを多頭飼いしているケースもあります。
ペットが生きているなら、ペットが動いたり鳴いたりすることで、ペットの存在を確認できますが、ペットが亡くなっているなら、動かない状態になっていると考えられます。
その場合は、ペットが生活ごみの一部として紛れた状態で見つかることもあるのです。
特にネコだった場合には、その特性から布団に潜り込んでいたり、狭い隙間に入り込んでいる可能性もあるため、片付けている最中に遺体で見つかるケースも珍しくありません。
特殊清掃業者に依頼すれば、清掃しながら亡くなったペットの対応もしてくれるため、おすすめです。
部屋の原状回復+ペットの対応を一括してお願いできるため遺族の負担が軽減する
遺族は孤独死をした現場やペットの対応だけでなく、さまざまな対応を取る必要が出てきます。
たとえば、亡くなった方の死亡届の提出や故人の葬儀、利用していたサービスの把握と停止、相続関係、賃貸だった場合には速やかな退居が求められます。
特殊清掃業者に依頼した場合、ペットの対応と部屋の原状回復まで見込めるため、スムーズな孤独死の対応と、遺族への負担軽減が期待できるのです。
ただし、特殊清掃業者は民間の企業であるため、サービス内容や料金等に違いがあります。
なかには「悪徳業者」も存在するので、選ぶ際には注意が必要です。
次からは「特殊清掃業者の選び方」をポイントに分けて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
飼い主が孤独死したペットの対応【特殊清掃業者の選び方】
選び方1・ペットの死骸の対応が可能な業者を選ぶ
飼い主が孤独な死を遂げた現場で、ペットも亡くなっている場合は、ペットの死骸の対応も可能な特殊清掃業者を選びましょう。
ペットの死骸の対応も可能な業者であれば、ペットにも供養の気持ちを持ちながら、消臭作業や特殊清掃を行うことができるからです。
また、生きているペットを保護した場合にも、飼い主の孤独死となった現場の原状回復は必要不可欠です。
そして孤独死をした現場では、ペットの生死に関わらず特殊清掃業者に依頼します。
ただし、一般的な家事代行サービスでは、特殊清掃は対応していません。
なぜなら家事代行サービスは、あくまで日常的な家事を代行するサービスであり、掃除をする専門業者ではないので、選ぶ際には注意が必要となります。
見積もりの際にペットに死骸があることを伝えておく
見積もりの際にはペットの死骸があると伝えておくことも重要なポイントです。
なぜならペットの場合、誰かに発見されたとしても人の遺体のように搬送がされないほか、腐敗を防ぐための処置もされません。
たとえ警察官が部屋に入り、ペットの死骸があったとしてもペットへの対応はされず、そのまま放置されるケースがほとんどです。
そのためペットの腐敗は進み、次第にウジ虫やハエが発生して、悪臭も酷くなってしまいます。
さらにペットの臭いは一般的な薬品では取り除けないほど、しつこい臭いとしても知られているため、専門性の高い技術が必要となります。
見積もりの際に伝えておくことで、どこまで対応しているかの指標にもなりますし、訪問見積もりを依頼し、現状を見てもらうこともおすすめです。
特殊清掃業者のなかにはペットを埋葬し、供養の代行まで対応可能なところもあります。
選び方2・ペットの臭いに特化した消臭技術や資格を持っている
孤独死をした現場にペットがいる場合、ペットの臭いに特化した消臭技術や資格を保有しているかも重要なポイントとなります。
特殊清掃業者を選ぶ際には、次から挙げる資格を参考にしてください。
✅脱臭マイスター
✅ペット消臭マイスター
✅孤独死脱臭マイスター
上記の3つは「一般社団法人 日本除菌脱臭サービス協会」にて取得できる資格です。
ペットを飼っている家では死臭だけでなく、ペット特有の臭いも存在します。
また、臭いの感じ方は人によってさまざまです。
選定の際には、どのような方法で消臭の証明をするのか、確認することをおすすめします。
たとえ家の解体ができる資格を持っていたとしても、消臭技術や消臭に関する資格を有していなければ意味もありませんので、ご注意ください。
消臭マイスターとは?
消臭マイスターとは、一般社団法人の日本除菌脱臭サービス協会にて取得できる「脱臭マイスター」を指します。
脱臭マイスターは、脱臭を行うために必要な技術や代表的な臭気物質に関する基礎知識、脱臭作業に関わる具体的な方法、協会独自の脱臭理論OST法を習得したことを証明する資格です。
消臭業界に革命を起こしたOST法とは、オゾンショックトリートメント法の略語です。
さまざまな臭気をオゾンの力によって短い時間で強力に脱臭するため、特殊清掃や災害復旧といった重篤な臭気の現場や、日常的なたばこ臭やペット臭まで幅広い対応が可能な唯一の脱臭法なのです。
孤独死の現場でペットも飼われていた場合には、「ペット脱臭マイスター」や「孤独死脱臭マイスター」にも注目してみましょう。
ペットマイスターとは?
ペットマイスターとは、同協会で取得できる「ペット脱臭マイスター」を指しています。
ペット脱臭マイスターでは、ペット臭の脱臭に必要な菌や薬剤等の基礎知識、ペット臭による脱臭のための作業方法、薬剤管理、現場復旧に関する知識が得られる資格です。
なかでもネコの尿臭は、臭いの処理で一番難しいとされています。
これまでは解体が唯一の方法でしたが、薬剤とオゾン、その他の処理法を駆使することにより、確実な消臭効果を得られるようになりました。
この処理法はネコの尿臭だけではなく、イヌの糞尿やネコの糞に対しても同時に行われるため、問題を抱えている人にとっては非常に強い味方となる処理技術と言えるでしょう。
またペット脱臭マイスターを取得するには、より専門的な内容となるため、一定の条件が必要となります。
孤独死脱臭マイスターとは?
孤独死脱臭マイスターとは、孤独死の現場復旧を行うために必要な基礎知識や具体的な作業方法、薬剤の管理方法等の知識が習得できる民間の資格です。
社会問題にもなっている孤独死が発生した現場は、さまざまな要因が重なることで原状回復が厳しくなります。
たとえば、深刻な汚れの処理や悪臭、害虫処理、目に見えない菌の処理等、多岐にわたります。
孤独死脱臭マイスターを有していれば、処理が厳しい現場において、確実でスピーディーな原状回復の実現が見込めるでしょう。
ペット脱臭マイスターと同様に、孤独死脱臭マイスターの資格取得にも一定の条件が必要不可欠です。
日本除菌脱臭サービス協会では「マイスター制度」があり、資格によって条件が異なります。
マイスター制度には資格ごとにランク付けがされており、ここでは上記に紹介した3つの資格をご紹介します。
✅プラチナ:ペット脱臭マイスター
✅ゴールド:孤独死脱臭マイスター
✅シルバー:脱臭マイスター
上に行くほど専門性が高くなり、条件も厳しくなります。
特殊清掃業に必須な資格ではありませんが、ペット臭も伴う孤独死の現場では有効な資格と言えるでしょう。
選び方3・特殊清掃専門の業者を選びましょう
飼い主が孤独死をした現場では、ペットの生死に関わらず部屋の原状回復をするために、特殊清掃専門の業者を選びましょう。
特殊清掃業者を選ぶ際のポイントを3つにまとめました。
資格を保有しているか
ペット臭専門の消臭技術を有しているか
どのような実績が有るか
1.資格を保有しているか
まず特殊清掃する際に必要な資格を保有しているかを確認してください。
ここで言う資格とは「解体届」と「解体許可」を指します。
以下の見出しにて具体的な説明をしますので、ご参照ください。
2.ペット臭専門の消臭技術を有しているか
ペットを飼っている部屋では、ペット特有の臭いも存在するため、死臭だけでなくペット臭も可能な消臭技術を持っている業者を選びましょう。
孤独死の現場にペットがいる場合は、「孤独死脱臭マイスター」や「ペット脱臭マイスター」といった専門性のある資格があると安心です。
3.どのような実績が有るか
特殊清掃は、専門的な技術と知識を要する業者です。
その技術や知識を身につけるには経験が必要となるため、実績の有無を確認することが大切となります。
また、会社の概要ページに資格の認定番号や自治体の許可を得ているかも調べる必要があります。
そして会社の概要ページが無い業者については、信頼性に欠ける可能性もあるため、避けた方が良いでしょう。
解体届、解体許可とは?(汚れが基礎部分や壁に染み込んでいる場合は基礎の解体が必要になるケースもある)
「解体届」と「解体許可」とは、特殊清掃業を経営するうえで必須な資格であり、都道府県知事や大臣から発行される公的な資格でもあります。
孤独死をした現場でペットが飼われていた場合、遺体から漏れ出た体液や腐敗臭、ペットからの臭いや糞尿といった汚れが基礎部分や壁にまで染み込んでしまう可能性があります。
その場合は完全な消臭も厳しくなるため、基礎の解体が必要となるケースも出てきてしまいます。
その時に必要となってくるのが、解体届と解体許可という資格です。
この資格がないと解体工事をすることができず、悪臭を完全に取り除くこともできなくなってしまうのです。
それゆえ、解体届や解体許可の資格を保有していると優れた業者であることが多く、完全消臭もできる可能性が高い、信頼できる業者と言えるでしょう。
飼い主が孤独死した現場で特殊清掃が必要な理由
特殊清掃業者の消臭技術ならペット特有の臭いに対応できる
飼い主が孤独死をした現場で特殊清掃が必要な理由の1つに、ペット臭への対応が挙げられます。
たとえば、ペットをたくさん飼い過ぎて「多頭飼育崩壊」になっているケースです。
多頭飼育崩壊が起きている場合、行き届いたお世話ができず糞尿まみれの汚部屋になっている可能性があります。
そしてペットが飼われていたなら、ペット特有の臭いも付着しているでしょう。
これらの汚れや臭いは、同じ洗剤で取り除けるのではなく、それぞれに適した薬品や道具を使い分ける技術が必要になってくるのです。
特殊清掃業者であれば、ペット臭にも対応した消臭技術を持っています。
特にペット脱臭マイスターという、ペット臭に特化した資格を保有している業者であれば、安心して任せられるでしょう。
特殊清掃は迅速対応が必要な理由
理由1・死臭が染み込み対応が難しくなってしまう(原状回復に多額の料金や時間がかかる)
孤独死をした場合、特殊清掃は迅速に対応する必要があります。
なぜなら孤独死をすると、遺体の発見で遅れるケースが多く、現場には人の遺体から出た死臭や体液によって汚れている傾向が見られるからです。
亡くなってから数日経っている場合は腐敗も進んでいるため、床材や壁紙、建材にまで死臭や体液が染み込んでしまい、対応が難しくなってしまいます。
また、それらの死臭や汚れを放置すればするほど取り除くことが困難になり、専門性の高い技術や資格を駆使して作業を行わなければなりません。
大がかりな作業は原状回復にも時間がかかり、解体工事やリフォーム工事が必要になるケースもあるため、多額な料金もかかってしまうのです。
特殊清掃を迅速に対応すれば、原状回復にかかる時間や費用も減らせるでしょう。
理由2・害虫などが発生してしまう
特殊清掃の現場では遺体の状況により、ウジ虫やハエ等が発生している可能性も考えられます。
ウジ虫やハエといった害虫は成長が早く、死後数日だったとしても日を追うごとに増えていきます。
さらに日数が経過すれば、ネズミ等の害獣が発生してしまう可能性もあるので、注意しなければなりません。
害虫は通気口や換気扇等から外へ出て行ってしまい、近隣住宅にも被害の拡大が予測されます。
孤独死の現場にいる害虫は遺体や体液を栄養としているために、感染症等の危険性を伴います。
したがって害虫駆除には、徹底した特殊清掃を行う必要があるのです。
畳のすき間や絨毯の裏等、目に見えない場所に潜り込んでいるウジ虫は、殺虫剤だけでは駆除できません。
その場合は、発生源となるところを清掃してから専用の薬剤で一匹残らず駆除します。
理由3・近隣住民に迷惑がかかる(悪臭など)
遺体から発生する死臭や体液は、一般的な清掃では取り除くことができません。
また、その悪臭から害虫が集まりやすくなり、孤独死をした現場だけでなく、近隣住民への迷惑となってしまいます。
しかし害虫だけではありません。
死臭が充満している現場では、窓を開けるようなことはせず、作業をします。
なぜなら、近隣住宅や近隣住民の衣服にまで死臭が広がることで、生活に悪影響を及ぼしてしまうからです。
ペットを飼っていたなら、ペット臭や鳴き声等の問題も併発し、近隣住民とのトラブルに繋がる可能性もあります。
近隣住民への被害を最小限に抑えるためには、特殊清掃を依頼し、迅速な対応を心がけましょう。
飼い主が孤独死したペットの対応などまとめ
飼い主が孤独死をした場合、警察官や検視官によって検視が行われます。
ペットへの対応は検視が終わったあとになるため、どうしてもタイムラグが生じてしまいペットへの影響も避けられません。
可能であれば検視が終わるまでの間に、ペットの対応を考えておくことをおすすめします。
なぜならペットの生死によって、その後の対応が全く違うからです。
ペットが生きている場合は、アニマルシェルターや保健所、動物愛護センターへ保護の依頼をします。
ペットも亡くなっている場合には、供養と共にペットの対応もできる特殊清掃業者に頼みましょう。
また、特殊清掃業者を選ぶ際には、解体届や解体許可の資格を保有しているか、ペット特有の臭いにも対応しているか、どのような実績があるか等がポイントになります。
ペットの生死に関わらず特殊清掃業者に依頼する場合には、迅速な対応が必要となることを覚えておきましょう。