【孤立死と孤独死の違いとは?】孤立死と孤独死の意味や定義について

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孤立死と孤独死の違いとは?/意味や定義の違いについて

 

 

孤立死の意味や定義

「孤立死」には明確な定義はありませんが、調べてみると「地域社会とのつながりを持たない状態で死に、死亡した事実が長期間だれにも気づかれなかった」という状態を指す意味の言葉です。

ひとり暮らしだけではなく家族暮らしであっても、社会的に孤立しており周囲に気づかれないまま死に、長期間経過する場合も「孤立死」という言葉が使われます。

孤立死で亡くなった周りの人の声を聞くと、「付き合いがないから知らなかった」「だれが住んでいるか、顔も知らなかった」など、地域のコミュニティのつながりの弱さが伺えます。

町内会に入っていない、近所の家との付き合いがないというように、地域間のつながりがない、あるいはつながろうとしないために外へ助けを求めることができず周りも異変を察知できないため、孤立死が起こってしまっているのでしょう。

 

孤独死の意味や定義

「孤独死」とは、主にひとり暮らしの人がだれにも気づかれずに1人きりで死ぬこと。

心臓発作や脳梗塞などの突発性の疾病により助けを求めることなく亡くなり、しばらくしてから発見される場合もあります。

孤独死に陥りやすい生活環境の人は以下のような人たちが多いといわれています。

死別を含む独身者
慢性疾患を持っている
定年退職などで仕事を持たない
家族や親族が遠方にしかいない

定年退職後に仕事を持たないひとり暮らしの高齢者などは、趣味や地域とのコミュニティーのつながりがなければ、上記で述べた孤立死に至ってしまうケースもあるでしょう。

また、家族や親族が遠方に住んでおり、すぐに駆けつけることができない距離である場合、なにかが起こったときにすぐに対応できず、孤独死に至ってしてしまう可能性も。

上記であげた5つの点に当てはまる場合には注意が必要です。

 

 

 

孤立死が増えている原因について

 

原因1・地域からの孤立

経済開発協力機構の調査によると、家族以外の人とつきあいがほとんどない「社会的孤立」の状態にある人の割合は、日本では15.3%と最も高くなっており、世界的に見ても日本社会の孤立は深刻です。

会社のリストラによる失業や離婚など、社会関係の変化を境に孤立する中年層も増加しています。

また、ひとり暮らしの高齢者や高齢者夫婦の世帯においては、すでに退職していることもあり、社会的なつながりが希薄化しているのが多い状況です。

身体的にも従来のような活発な活動ができないために、地域や社会から孤立した暮らしになりがちになってしまっています。

特に都市部では、情報を得ること、日常生活を送ること、移動・交通システムに関しての社会保障が発達しており、特に健康な間は地域において、人とのかかわりを持たなくても生活することが十分に可能です。

高齢者よりも下の年代の人の中には、会社人間として人生を過ごして来た人が多いため、地域社会と積極的なかかわりを持つことについて消極的であると考えられています。

また、病気や障害を抱えていて支援が必要な状態でも、地域とのつながりを断ち、ケアを拒否している人もいるため、そのような人が孤立死につながってしまうケースもあります。

 

原因2・独居世帯の増加

現在、独居世帯が増加しており、これからも増加していくと予想されています。

65歳以上の単身の高齢者についていえば、2015年の時点で独居率が男性13.3%、女性21.1%だったのに対して、2020年には男性15.5%、女性22.4%と男女とも増加しています。

また、2040年には独居率が男性20.8%、女性24.5%になると推測されています。

女性のひとり暮らしが多いのは、男性より女性のほうが平均寿命が長く、夫と死別してひとりで暮らしているためです。

また高齢者に限らず、50代の独居世帯も増加しています。

その原因として、50歳時点で1度も結婚をしたことがない人が1990年以降急激に増加し、2015年には男性の生涯未婚率は「23.4%」になりました。

2030年には「28.0%」になると推測されています。

女性の生涯未婚率は、男性ほど高い水準ではありませんが、2015年には「14.1%」で、2030年には「18.5%」になると予測されています。

 

原因3・貧困

2015年の世帯類型別の相対的貧困率について、勤労世代(20〜64歳)の単身世帯相対的貧困率は、男性「21.1%」、女性「29.0%」となっています。

また、高齢世代(65歳以上)の相対的貧困率は、男性「29.2%」、女性「46.2%」と、特に高齢単身女性の貧困率が高い水準傾向にあります。

孤立死に至る人は貧困層の人が多く、働いているときに収入が多かった人ほど孤立死される可能性は低くなります。

現役を退いても経済的に余裕があれば自分の趣味を持つことができ、それにより人とのつながりを得ることができます。

また体調が悪ければ病院に行き、適切な治療を受けることが可能です。

1人で寂しければ、老人ホームなどの施設に入居することもできるでしょう。

しかし、金銭的な余裕がなく、1日1日の生活をするので精一杯という貧困状態の人にとっては、趣味を持ったり、すぐに病院に行ったり、老人ホームなどに入ったりするということが難しいため、ひとりで抱え込んでしまい、孤立死という結果になってしまうのです。

 

 

 

孤立死の予防方法について

 

孤立死の予防方法1・地域連携や見守りサービスの拡充

近所の人や同じ地域に住む人同士で声をかけあう

「遠くの親類より近くの他人」ということわざがあるように、近所の人や同じ地域に住む人とのかかわりは、孤立死を予防する点でとても重要です。

はじめは他人ということもあり、お互いに警戒心を抱いているかもしれませんが、挨拶程度でも何度か行っていくうちに顔なじみになります。

気軽に挨拶などをして、日頃から声を掛け合いコミュニケーションを取っているなら、異常があったときに「どうしたんだろう」と周りに早く気づいてもらいやすくなるでしょう。

 

公共サービス(ガス・電気・水道)などの事業者と連携する

電気やガス、水道などの公共サービス事業者と連携することも孤立死を予防するひとつの方法です。

公共サービスの中には「高齢者見守りサービス」を設けている事業者もあります。

1日に1回も水道の使用がないなど、一定期間ライフラインが使用されない場合に、自動通信機器を活用して安否確認を行います。

さらには、検針員が検針に行ったときに、「いつもと使用量が違う、ちょっとおかしい」と感じたら、関係する機関に連絡し早期発見・早期解決を目指します。

ライフラインから安否確認を行い、行政機関などと連携するなら、孤立死を未然に防ぐことができるでしょう。

 

民生委員や地域のボランティアによる訪問や声掛け

孤立死を未然に防ぐため、独自にさまざまな取り組みを行っている自治体も。

警察や民生委員、地域のボランティアの人たちが、定期的にひとり暮らしの高齢者宅を訪問したり声掛けをしたりして、見守り活動を行っています。

地域の中には、住民ボランティアと民生委員がチームを組んで高齢者などの家を訪問し、「お困りごとはありませんか」と聞きながら、住民同士のつながりをつくっています。

また、配食などの支援サービスを活用し、食事を届けた際に様子を伺うなどの見守りを一緒に行っている自治体もあります。

 

老人ホームや高齢者住居への入居

地域のボランティアや近所の人との付き合いがあったとしても、緊急を要する出来事が生じた場合、対応が間に合わない可能性もあるでしょう。

そのような不安を解消するには、老人ホームや高齢者住居への入居がおすすめです。

施設であれば介護スタッフや看護師などの医療スタッフも常駐しているため、なにかあってもすぐに対応してくれるので安心です。

また、同年代の多くの人と出会い一緒に会話をしたり食事ができたりするため、精神面でのよい影響を期待できるでしょう。

誰かと一緒に生活することで、孤立死を回避することができます。

 

孤立死の予防方法2・社会や地域との関係をサポート

高齢者の職のサポート/高齢者の再雇用

内閣府の調査によると、仕事をすることに生きがいを感じている高齢者は「81.3%」となっており、仕事に対して意欲的な高齢者がかなり多いというのが伺えます。

高齢者の人たちの今まで培ってきた経験やスキルを活かして、高齢者の再雇用などを積極的に行っている事業所もあります。

職場で人とのかかわりがあると気持ちも前向きになり、ひとりで引きこもってしまうことも少なくなるため、孤立死防止に大きく影響します。

高齢者本人も、仕事をすることで人の役に立っているという実感を得られるため、生きがいを感じやすくなるでしょう。

 

町内会や自治会への参加

町内会や自治会へ参加することも、孤立死を予防するための効果的な方法です。

参加することで次のようなメリットを得られます。

地域の人と交流できる
防災面で協力し合える
地域環境への意見を出しやすい

地域によってはイベントを季節ごとに開催しているところも。

そのようなところへ出向いて参加することで、近所の人や地域の人と知り合いになれたり交流したりすることができます。

新たな友達を作ることもできるでしょう。

さらに、町内会や自治会では、安全活動や清掃、老人会や町内パトロールなどさまざまな活動があります。

それらの活動に参加するなら安心感が得られ、さらに快適な環境で充実した生活を送ることができるため、孤立死を遠ざける大きな助けになるでしょう。

 

スポーツへの取り組み(公共施設のジムやプールの利用)

孤立死を予防するために、スポーツをするためのジムやプールに通うこともおすすめです。

スポーツをすることで得られるメリットとして、以下が挙げられるでしょう。

健康寿命を伸ばして介護予防につなげる
医療費の削減につなげる
コミュニティづくりの場になる

体を動かすことは健康によいのはもちろんのこと、そこで出会う人との新しいコミュニティをつくることができます。

さらにジムなどでは、普段出会うことが少ない世代とも知り合いになれる可能性があるため、新たな興味が広がることも。

仲間とのコミュニティが広まるなら、生活にハリが生まれ、充実感あふれる生活を送れることが期待できます。

 

趣味活動への参加

趣味活動に参加することにおいても、孤立死を防ぐための助けになるでしょう。

趣味を持ち、関連した活動に参加することで心身の健康に役立ち、生き生きとした生活を送れます。

他にもこのようなメリットもあります。

認知症の予防
体を動かすことによる筋力や体力の向上
友達や家族との会話のきっかけとなる
生活する中での充実感を得て、心の病気のリスクを低減させる

家でできる趣味ももちろんありますが、外に出て同じ趣味の人たちと交流するなら充実した時間を過ごすことができ、気持ちも前向きになります。

さらに生きがいを見つけ活気に満ちた生活を送るなら、生活の質の向上にもつながるでしょう。

 

 

 

孤立死や孤独死を発見したときの対応について

 

対応1・死亡が明らかな場合は警察を呼びましょう

遺体の腐敗が始まっていて臭いを発しているなど、亡くなったことが明らかな場合は警察に連絡します。

目撃者がおらず1人で亡くなった場合、事件に巻き込まれた可能性があることも考え、警察を呼んで適切な処理をしてもらいましょう。

注意すべき点として、発見時には遺体を移動させたり部屋の中のものを触ってはいけません。

警察の現場検証と検死があるためです。

警察が到着してから現場は一時的に立ち入り禁止となり、住宅管理をする関係者をはじめ部外者は入ることができません。

 

対応2・死亡が確認できない場合は救急車を呼びましょう

孤立死や孤独死と思われる状況であっても、「亡くなっているかどうかわからない」という場合であれば救急車を呼びます。

亡くなっているように思えても、息を引き取ってから時間が経過していなければ蘇生する可能性もあります。

救急車を呼ぶなら駆けつけた救急隊員によって生死を確認し、「病院で対処できる」と判断すれば病院へ搬送してくれます。

しかし、その場で死亡が確認されれば、救急隊員のほうから警察へ連絡してくれます。

亡くなっているかどうか見極めがつかないときは、自己判断せずとりあえず救急車を呼びましょう。

 

 

 

孤立死と孤独死の違いについてまとめ

孤立死や孤独死に至る原因はさまざまありますが、中でも自分を社会から孤立させないようにすることが重要です。

だれにも看取られずに亡くなってしまう孤独死も悲しいですが、地域とのつながりや近所の人とのつながりがなかったために孤立して亡くなってしまう孤立死は、周りの人にとっても悔やみきれません。

孤立死を出さないために、予防法としてできることを積極的に行いましょう。

近所の人との挨拶などの声の掛け合い
電気やガスなどの公共サービスや、地域ボランティアとの連携
高齢者の就業に関してのサポート

また、ひとり暮らしをしている本人も、孤立死という結果にならないように、自治会・町内会への参加や趣味活動への参加など、自ら進んで動いていけるようにしましょう。

1人ひとりができることを行って協力し合い、安心できる生活環境を地域全体でつくって、孤立死・孤独死を減らすよう努力していきましょう。

 

 

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